9月28日は女性と少女の中絶の権利ために全世界で声を上げる国際セーフアボーションデーで、#もっと安全な中絶をアクションで、RHRリテラシー研究所代表の塚原が「中絶薬」に関して短い報告を行いました。
その報告を補うために、当研究所では29日に「【緊急】メディア・ブリーフィング」をオンライン開催いたしました。ここに両日の資料を公開いたします。動画も追って下記の「RHRリテラシー研究所(公式)」Youtubeチャンネルで公開します。
https://www.youtube.com/channel/UCmJTPoUs0ZTHS5DlhpLNbxQ
合わせてぜひご活用ください。
テーマ:「日本初の中絶薬」の過去と現在から“経口”中絶薬の未来を考える
概要説明:ご存じの通り、「日本初の”経口”中絶薬」がこの秋にも承認される見込みです。日本産婦人科医会は「配偶者の同意が必要」で、「入院して服用」させ、料金は「従来の中絶手術と同程度」で、「管理費を含め10万円」などと医療の都合を優先するかのような発言を繰り返してきました。このままでは、この薬を必要とする人々にとってアクセスしにくい扱いになるのではないかと危惧されています。
事実、1970年代に日本で開発された「初の中絶薬」も、中絶を受ける人々の健康や権利よりも、医療の都合が優先されていた可能性があることが、このたび判明しました。経口ではなく”経腟”で使うプレグランディンという薬で、現在、日本では中期中絶にのみ使われています。しかし、開発された1970年代には、まず妊娠初期の中絶に試されて9割を超える成功率を収め、世界初の「中絶薬」として有望視されていたのです。この薬は海外では何百件もの論文で取り上げられ、様々な用途で吟味されてきました。現在も日本以外でも8カ国に販売されているようです。
ところが、そうした事実が日本語の文献だけ見ていても、一切分からないようになっています。プレグランディンは、日本語圏では最初から「中期中絶の薬」として紹介され、ほとんどの場合、子宮頚管拡張材と併用する形で延々と使い続けられてきました。しかし、この薬にはそれ自体に子宮頚管拡張作用があるため、海外では吸引手術の前処置の薬として使われてきたほどなのです。
しかし現在では、子宮頚管拡張のための薬としても、プレグランディンよりもミソプロストールの方が望ましいと考えられています。また、内科的中絶(薬による中絶)は、妊娠の初期も中期もミフェプリストンとミソプロストールの組み合わせもしくはミソプロストール単体(くり返し服用)が最も望ましい方法としてWHOの新『中絶ケア・ガイドライン』でも推奨されています。
このような情報ギャップと、国内外での薬の扱われ方の違いが何をもたらしたのか。女性たちはどのような経験をすることになったのかを、新しい中絶薬が入って来る直前の今こそ見直して情報共有し、今後に生かしていくべきです。
ガラパゴス化しているのは「搔爬」だけではなかったのです。日本は「中絶後進国」だと思ってきましたが、実は「中絶薬先進国」を自ら降り、ガラパゴス化する道をあえて選んできたのです。この道を正すために、私たちはこれから何をしていくべきでしょうか。共に考えていくために、情報提供を致します。
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