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リプロ・ニュース No.3


RHRリテラシー研究所 2024.8.18発行

 

────◇◆◇コンテンツ◇◆◇─────

1. 「リプロ・ニュース」No.3発行のごあいさつ

2.  中絶薬の使用実態に関するラインファーマ社の調査結果

3. 中絶薬使用の条件緩和なるか

4. 中絶の権利がフランス憲法に…

5. 韓国における中絶薬に関する情報規制

6. 「わたしの体は母体じゃない」訴訟 次回公判は8月28日!

7.ボランティア募集中

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 1.「リプロ・ニュース」No.3発行のごあいさつ◇◆◇────

 

 RHRリテラシー研究所は、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利:略RHR)」の知識と理解(リテラシー)を広める活動を行っている任意団体です。予定より少し遅れましたが、メルマガ「リプロ・ニュース」No.3を発行します。


 RHRは元々女性の健康運動から登場してきた概念で、国際社会では1990年代から広く知られるようになりました。最近では、「セクシュアル・ヘルス&ライツ」という概念も加えてSRHRと表記されることもよくありますが、私たちのグループでは「リプロダクション(妊娠や出産)」の機能にまつわる健康と権利に特に注目しています。


 RHRは、現在では「個人の人権」の重要な一部であると認識され、国にこの人権を保障する義務が課されていますが、日本では、本来、国が個人に対して保障すべきRHR関連のケア(緊急避妊薬を含む避妊や中絶、安全で尊厳が守られアクセスしやすい妊娠・出産、不妊手術なども含む)の情報と手段がほとんど提供されていません。まずはリプロ関連の知識をつけていきましょう。そのために、今月も「リプロ・ニュース」をみなさまの元にお届け致します。


 

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 2. 中絶薬の使用実態に関するラインファーマ社の調査結果◇◆◇────

 

 去年、承認された妊娠を中絶するための国内初の飲み薬について、こども家庭庁の研究班が調査結果を発表しました。販売開始の去年5月からおよそ半年間で服用した435人について、大量出血などの重い合併症は確認されなかったとしました。

 

 日本産婦人科医会の中井章人 副会長は 「今回の調査では、妊娠中絶薬には重篤な合併症もなく、また、救急搬送されたような事案もなかった。より多くの施設がこの薬を使えるようになった方がそれを受ける方にとってメリットが高いのではないか」とコメントしました。

 


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 3. 中絶薬使用の条件緩和なるか(続報)◇◆◇────

 

 上記の調査結果を受けて、厚労省は7月25日、今後、厚生労働省は経口中絶薬の使用条件を緩和する方針を明らかにしました。現在投与は入院できる医療機関に限定し、中絶が確認されるまでの間、女性の病院待機を必須とし、厳しい制限を課していますが、緊急時に適切な対応が取れれば、無床診療所での投与や投与後の帰宅を可能とする方向で検討しています。

 

 方針案では、新たに投与が可能となるのは休日を含む24時間体制で対応し、入院できる医療機関と連携する無床診療所、また医療機関から16キロ以内に居住しているなどの条件を満たせば投与後の帰宅も認め、投与後1週間をめどに中絶の確認のために通院を求めるとのことです。

 

 中絶薬の服用には、必ずしも受診やエコーは必要なく、自宅で安全に服用できる薬です。日本も、医学的に不要である障壁を緩和し、中絶薬を必要とするすべての人が使える体制を整えていくべきです。

 


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 4.「世界初」中絶の権利がフランス憲法に……◇◆◇────

 

 2024 年 3 月、第五共和制憲法第 34 条に、人工妊娠中絶を利用する自由を女性に保障し、これを行使するための条件を法律により定める旨の規定を追加する改正が行われた。

この改正案のよって、憲法第 34 条第 17 項の後に「法律は、人工妊娠中絶を利用するという女性に保障された自由を行使する条件を定める」という規定が追加されました。

同改正案は、上下両院のそれぞれで可決された後、2024 年 3 月 4 日に両院合同会議(Congrès)で有効投票の 5 分の 3 以上の賛成を得て可決されました。

 


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5. 韓国における中絶薬に関する情報規制◇◆◇────

 

 韓国通信標準委員会(KCSC)が行政的なサイトブロッキング命令を出し、国民のウィメン・オン・ウェブへのアクセスをブロックしていた問題で、ウィメン・オン・ウェブは韓国政府を提訴していましたが、残念ながら上訴で敗訴となりました。

 

 韓国政府は、2019年からウィメン・オン・ウェブへのアクセスをブロックし、国民が中絶薬に関する情報を得ること、ウィメン・オン・ウェブから支援を受けることを阻害してきました。

 ウィメン・オン・ウェブのウェブサイトをブロックするというKCSCの決定は、専門知識に欠け、科学的証拠に裏付けられておらず、女性の権利に有害な影響を与えています。ブロッキングには手続き上の欠陥があり、正当な根拠がないため、権限の乱用であるということが争われてきました。

 

 「必要な情報を得る権利」や「自己決定権」といった基本的人権が裁判所で否定されたことはとても残念です。

 

 ウィメン・オン・ウェブは、検閲の有無にかかわらず、韓国でのサービス提供に全力を尽くすとともに、憲法訴追の可能性を含め、さらなるアクションを計画しています。

 


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6.「わたしの体は母体じゃない」訴訟 次回公判は8月28日!◇◆◇────

 

第2回 公判

8月28日(水) 15:00~ @東京地裁・第803号法廷

※    初回期日とは異なり、意見陳述などはありませんが、多くの人が女性の自己決定権に関するこの裁判に関心を持っているということを司法に示すことが、社会を変えることに繋がりますので、足を運んでいただけますと大変大きな力になります。

 原告を応援するために、ぜひ裁判の傍聴にも足を運んでください。

 

 どんな体に生まれついた人であろうとも、第三者の思惑で生き方を狭められたり強制されたりするのはおかしい……なのに日本の法律では、「わたしの体はわたしが決める」という単純なことが、これまでも今も認められていません。「産まない選択」は、望まない妊娠を中絶する場合のみに関わる問題ではありません。「望まない妊娠」をしないため、または自分らしく生きていくために、確実で安全な避妊手段や不妊手術を切望している人々に対して、法的かつ医療的に制限がかけられている現状は不当であり、人権侵害=リプロの権利の侵害にあたります。

 自分のからだは「産むためにだけ」にあるわけではありません。自分の人生を自分らしく生きるためにも、「わたしの体」について自分で決められることは、基本中の基本、リプロの権利の一つなのです。

 「不妊手術」を求める当事者だけではなく、女性のリプロの権利を信じるすべての人々にこの訴訟をぜひ応援してほしいです。

 

原告の想いや訴訟に至った経緯はCall4のサイトでどうぞ:

寄付や応援のコメントも大大歓迎です! 原告の陳述書もサイトでお読み頂けます。

 

最新情報は上記call4ウェブサイトに加えて、

Instagram @ledge_law または @call4_jp

Twitter @LEDGE_law または @CALL4_Jp

 

 #わたしの体は母体じゃない 訴訟〈第1回期日報告会〉Youtubeで視聴可能です。


関連記事:

「子どもを産まない権利も認めて」戦時下から続く、原則禁止の不妊手術要件は違憲と提訴 (東京新聞)

 

母体保護法の不妊手術要件「違憲」と提訴 「自己決定権の一つ」主張 (朝日新聞 有料記事)

 

In Japan, a legal fight for the right to sterilization surgery(Japan Times)

 

In Japan, These Women Want to Opt Out of Motherhood More Easily(New York Times)

 

Five women launch lawsuit in Tokyo for right to undergo voluntary sterilisation in Japan (ABC News)

 


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 7.ボランティア・スタッフ随時募集中!◇◆◇────

 

 RHRリテラシー研究所ではボランティア・スタッフを募集しています!

 

 リプロに関する情報提供やイベント開催などの活動をしています。関心のある方、意欲のある方、どうか力を貸してください。

 

ホームページは:https://www.rhr-literacy-lab.net/

 


編集後記

 今回のニュース発行は大幅に遅れ、見かねたスタッフに編集の大部分をお願いしました。記して感謝いたします。これを機に持ち回りにしたいです!! 『ジェーンの物語』の書評が北海道新聞とクレヨンハウス通信にも載りました。エンパワーされる女性が一人でも増えますように! 暑い日々が続きます。みなさまご自愛ください。(K)




 


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