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執筆者の写真Kumi Tsukahara

緊急避妊薬の取り扱いに関する要望書並びに緊急避妊薬の試験販売に関する声明

更新日:2023年11月8日


 

2023年11月1日

厚生労働大臣 武見敬三様 

日本薬剤師会会長 山本信夫様

RHRリテラシー研究所

https://www.rhr-literacy-lab.net/

rhr.lit.lab@gmail.com


緊急避妊薬の取り扱いに関する要望書


 私たちは、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に関連する研究を推進し、情報を共有することで、主に日本の女性のリプロダクティブ・ヘルス&ライツの環境を改善していくことを目指しているグループです。

 緊急避妊薬の試験販売が11月下旬から開始されるにあたり、薬局での試験販売に年齢制限や保護者の同伴を課す案が検討されている件について、以下の通り要望をいたします。


・未成年を含む全ての女性のために緊急避妊薬へのアクセスを確保してください。

・医学的に根拠のない年齢制限を課すことはやめてください。

・未成年のリプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障し、望まない妊娠をできる限り減らすために、緊急避妊薬の処方に保護者の同伴や同意の条件を課さないでください。


 WHOでは、緊急避妊の使用に絶対的な医学的禁忌はない、及び緊急避妊の使用に年齢制限はないとしています。妊娠可能なすべての年齢の人に可能な限りアクセスしやすい形で提供すべきです。

今年、日本でG7のエンゲージメントグループとして開催されたWomen7のコミュニケでは、「すべての人が性と生殖に関する健康(SRH)ケアを受けられるようにする」ことを宣言しており、この中には緊急避妊薬をアクセスしやすくすることも含まれます。G7のコミュニケでも、「全ての人の包括的なSRHRを達成することへの完全なコミットメント」を宣言しています。緊急避妊薬へのアクセスに不必要な障壁を作ることは、こうした宣言に真っ向から反しています。


 厚労省によれば、18歳までの中絶件数は年間5000件を超えています。赤ちゃんポストで知られる熊本市の慈恵病院によれば、妊娠を親に相談できない未成年には、「様々な事情があった」としています。親に相談できる家庭環境でないケースも多々あると考えられます。

 家庭環境や親に相談できなかったり、親の一存で緊急避妊薬へのアクセスが絶たれたりすることがないよう、未成年を含む全ての女性と女児への緊急避妊薬へのアクセスを確保してください。

 保護者同伴を課したり、法的および医学的に根拠のない保護者の同意を求めたりすることは、未成年の緊急避妊薬へのアクセスを阻害します。このような制限は、薬局・婦人科のいずれでも行わないでください。少なくとも、法的な性交同意年齢の16歳以上は、当人の判断のみで使用できるようにすべきです。

                                     以 上



 

2023年11月6日


RHRリテラシー研究所

https://www.rhr-literacy-lab.net/

rhr.lit.lab@gmail.com


緊急避妊薬の試験販売に関する声明


 緊急避妊薬は、必要とするすべての人が速やかに利用できるようにすることで、約9割の望まない妊娠を防止することができる薬です。この薬を必要とする人に対して、アクセスの障壁を作るのは、当人のSRHRを阻害する人権侵害に当たり、到底許されることはできません。

 

 来る11月20日から、 緊急避妊薬の薬局での試験販売が開始されるという報道がありました。それと同時に、16歳未満は試験販売の対象とせず、医療機関などを紹介すること、16歳以上18歳未満は保護者の同伴が必須条件になることも報じられています。 しかし、このような運用は、緊急避妊薬を必要とする未成年の同薬へのアクセスを不当に制限することになります。

 最近、刑法強制性交等罪において性交同意年齢は16歳と定められました。緊急避妊薬の使用についても、16歳で自己判断できると考えるべきです。


 WHOや国際的な専門機関では、 緊急避妊薬には禁忌がなく、 年齢制限なく安全に服用できるとしているばかりか、 妊娠可能性のある全ての人がアクセスを保証されるべき薬であるとしています。


 今年、日本でG7のエンゲージメントグループとして開催されたWomen7のコミュニケ(共同声明)では、「すべての人が性と生殖に関する健康(SRH)ケアを受けられるようにする」ことを宣言しており、この中には緊急避妊薬をアクセスしやすくすることも含まれます。G7のコミュニケでも、「全ての人の包括的なSRHRを達成することへの完全なコミットメント」を宣言しています。

 緊急避妊薬についても、こうした宣言に則って、個人の権利を保障する運用をすべきです。

以 上 


関連情報:

International Consortium for Emergency Contraception, FIGO(翻訳:リプラ、#緊急避妊薬を薬局で)

臨床スクリーニング:緊急避妊薬を使用する前に身体診察や臨床検査は必要ない。 特別な問題: • 思春期の女性:緊急避妊薬は年齢に関係なくすべての女性にとって安全であり、初経の前や思春期の初めの段階の女子が使用することができる。 (p.6)
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